離婚して、子どもと二人で、父母が住む実家に帰ってきたのが4カ月と少し前のことでした。
実家は4LDKの一戸建てですが、私は居間の隣の、仏壇がある和室で寝起きしています。
私が寝起きしている部屋について
LDK(台所とダイニング、そして居間がつながっている部屋)に、ふすまをへだててつづいている8畳の和室があります。
ここには仏壇があり、押し入れの戸の上には、父の両親の遺影がかけられています。
掃き出し窓のガラスの内側にあるのは、カーテンではなく障子です。
いつも薄暗い部屋です。昼間でも照明をつけます。
離婚してこの家に来ると、父が「この部屋を好きなように使っていい」と言ってくれました。
家具も何もなくて、持ってきたバッグから洋服を出しては着ていました。バッグに入れておくと皺になって困る服は、ハンガーにかけて、部屋の壁いたるところにつるしています。
長く住むなら、家具も買いたいところですが、できるだけ早く出ていきたいと思っているので、買っていません。
母が、使っていない押し入れケースを貸してくれたので、下着などはそこへ入れられるようになりました。が、依然として洋服は、バッグから出して着て、洗うとたたんでバッグにしまいます。
古い家にはいろんなものが住みつく
実家は築30年以上です。両親はわりあいにきちんとくらしてきて、散らかっているということはありません。
でも隣に草ぼうぼうの空き地があったりするせいか、家には虫やネズミが住み着いています。
冬には、天井裏をネズミが走る足音がよく聞こえていました。
水回りにいろいろと不具合が出ています。水洗トイレの調子が悪くなったり、給湯器がなかなか点火しなかったりします。
プライバシーなどない
この部屋は、ふすまを閉めて個室にすることもできますが、私たちが来る前は、いつも居間と仏間の間のふすまはあけっぱなしだったようで、両親はこのふすまを閉められるのがいやみたいです。
「仏さまがいつも見えるようにしていたい。」
「閉めてしまうと仏さまに悪いような気がする。」
そんな気持ちなのかなと思います。
私が閉めていると、両親は私に聞かずにだまって、または「あけておきなさい」といって開けます。「あけてもいい?」と聞かれることはありません。
夜に私が布団をしいて、パジャマを着て、寝ているときに来て、ふすまをあけていくこともあります。
ここは、私の部屋ではないということなのでしょう。
仏壇の部屋に住むということ
仏壇の部屋ですから、線香のにおいがしみついています。
そして毎朝、また新たに線香が炊かれます。
両親は仏様をとても大事に思っているので、「香りの少ないお線香」なんか選びません。そんなのを選んだら、まるで「お線香の香りは迷惑なもの」と思っているみたいじゃないですか。
だから両親は、「香りのきついお線香」を選びます。お線香の香りは、仏様を大事にしている証拠なんです。
さて、その部屋で寝起きし、仕事もしている私はどうなるかというと…
線香の香りが全身に、服にも、持ち物すべてに、しみついています。髪にも、毛根にも、きっとパソコンにまで線香の香りがしみ込んでいるでしょう。
まあ燻製ですよね。いわば。
私は、もうどこにも逃げ隠れすることができない体になってしまいました。
変装しても、たとえ整形したとしても、このニオイで身元がばれるでしょう。
あなたが街を歩いていて、やけにツーンと線香の香りがする、疲れた顔の女性がいたら、それはきっと、私かもしれません。
そして子供まで
うちの子供は、二階の部屋を一つ貸してもらっていますが、その部屋がまた暗くて、虫が出て怖いらしく。
寝る時以外はいつも、私の仏間(私のではないけど)にいます。
スマホいじったり、勉強したり、ゲームをしたりしています。
そしたら、とうとう学校のクラスメイトに言われてしまったそうです。
「〇〇が来ればニオイでわかる。いつも線香のニオイがするから」
と…。
子どもは「ぜんぜん気にしてない」と言いました。
でも、以前はめんどくさがって、言わないと浴びなかったシャワーを、自分から毎日浴びるようになり、私の部屋にバッグや服は置かなくなりました。
相当気にしているみたいです。
実家を出る準備中
子どもと2人で、私の収入だけでは生活できないと思ったから、ここに来ました。
実家に来るという選択肢がなかったら、どうなっていたかと想像すると恐ろしいです。父母には感謝してもしきれません。
でもやっぱりいろいろと、肩身が狭く、不自由な思いをしてくらしています。
父母は長い間、2人+愛犬1匹で、のんびりと静かに暮らしていました。年金はじゅうぶんもらえるようです。自分たちで生活できなくなったら施設に入る、と言っています。
私の世話になるつもりはない、と父も母も常々言っています。
ここに帰ってくると決めた時、自分も世話になるけど、私が高齢の父母の手伝いもできるから、少しは「戻ってきてくれてよかった」と思ってもらえるんじゃないかなんて思ったんですよね。
でも父は、100%自分たちが世話してやる立場だということを、ハッキリさせておきたいようです。
こっちはオマエの世話になんかならなくてもやっていける!ということを、言葉や態度で常にアピールしてくるんですよね。
もういい。そんなに何回も言わなくてもわかりましたよ。
って気持ちです。
そこでこのごろは堂々と部屋探しをして、父に保証人になってもらうことまでずうずうしく頼みました。
意外なことにこころよく承諾してくれましたよ。娘がこの家を出ていくための協力なら惜しまないようだ。いや、ほんとにありがとうございます。
で、部屋を探してるんですけど。
私のように、離婚して、収入はあるけど職種がよくわからない人間に、果たして部屋を借りることができるのかわかりません。
今までに2件ほど申しこみ、断られたり、一足違いで他の人に決まったと言われたりしています。
いま3件目の申込書を書こうとしているところです。また、ダメかもしれない。
部屋探しのことについては、また書きますね。