母子家庭の親が、仕事探しに役立つ資格を取りたいと思ったとき、悩みとなるのが、資格を取るための費用をどうするかということです。
資格の種類にもよりますが、取得するために長期間勉強をしたり、実習を受けたりする必要がある資格も。
親元から学校に通う学生さんとは違って、ひとり親家庭の親の場合、資格取得のための勉強をする間も子育てをしながら生活していかなくてはいけません。
- 仕事をしながら資格取得のための勉強をする
- 実家で暮らすなど一定期間仕事をせずに資格取得のための勉強に専念する
このような方法で資格を取るための勉強をすることになります。

取得までの期間は大変ですが、長く安定して働き続けることができる資格を身につけることができれば、その価値は大きいです。
ここでは、資格について調べたことをまとめます。また、母子家庭等ひとり親家庭の親の資格取得を支援してくれる制度についても、調べてまとめてみました。
私が持っている資格、今勉強していることについても書いていますので、ちょっと長い記事ですが、最後まで読んでもらえるとうれしいです。
もくじ
どんな資格があるの?
まずは、いろいろな資格を挙げてみます。というマークを付けたのは国家資格です。
(法曹、教員免許、医師免許、公務員試験などに関する情報はこのページでは除きます)
国家資格とは
大学・短大・専門学校・養成施設等で学ぶ必要がある(または実務経験が必要)資格
教育機関で専門的な教育を受けて取得する資格にはこのようなものがあります。
専門的に学んで資格を取得し、仕事をしながらさらにスキルアップしていくようなお仕事です。

- 准看護師
- 看護師
- 保育士
- 栄養士
- 美容師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 歯科衛生士
- 製菓衛生士
- 調理師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- キャリアコンサルタント
この中で、実務経験なしの方が比較的短期間で取得を目指せる資格としては「キャリアコンサルタント」があります。指定の養成講座(2か月~半年程度)で学ぶと受検資格を得られます。
また、保育士の資格を取る方法はいくつかありますが、大学、短大、高専を卒業している人は、実務経験なしでも、保育士試験を受けて合格することで資格を得られます。
上記以外で特に仕事探しに直結する資格
比較的短期間の勉強で資格を取得でき、就職活動でアピールできるものを挙げてみます。
- 医療事務 →病院、診療所
- 調剤薬局事務 →薬局
- 介護事務 →介護施設
- 歯科助手 →歯科医院
- 旅行業務取扱管理者
→旅行代理店
- 介護職員初任者研修 →介護施設
- 宅地建物取引士
→不動産会社
- 日商簿記 →様々な企業の事務職
- CAD利用技術者試験 →建築、土木、機械、アパレルなど
- 建築CAD検定試験 →建築、土木、不動産関連など
- 基本情報技術者試験
→PC、ソフトウェア、IT会社など
- エステ・マッサージ等の様々な民間資格 →サロンなど
仕事に役立つ資格
上記の資格に比べると特定の職種に直結するわけではありませんが、こういった資格を取るための勉強をして得た知識は、幅広く仕事で役に立つでしょう。
- 行政書士
- インテリアコーディネーター
- FP技能士
- ITパスポート
- MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)
- 実用英語技能検定
- TOEIC
- 秘書技能検定
資格取得を支援してくれる公的制度
仕事探しに困っている人が、資格を取得するための費用を、国等が助成してくれる様々な制度があります。
ひとり親家庭の親が受けられるもの、雇用保険に3年以上入っていた人が受けられるものなど、条件があります。
ひとり親家庭の親が仕事を探す場合は、まずはハローワークか、市区町村役場の福祉関係窓口で相談してみることをおすすめします。
(ここからは、2019年3月に調べた情報をまとめたものです。制度は変わることがありますのでご了承ください)
自立支援教育訓練給付金
参考サイト:厚生労働省/母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について
どんな給付金?
ひとり親家庭の親が、対象の教育訓練を受講し修了した場合、かかった費用の一部が支給される。
対象となる人は?
以下の条件を満たす人が給付を受けられます
- 母子家庭の母または父子家庭の父
- 20歳未満の子供を扶養している
- 児童扶養手当の支給を受けているか、それと同等の所得水準
- 資格や技能、仕事の経験などから判断して、教育訓練が、適職につくために必要であると認められること
対象となる講座は?
- 雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
介護技術、医療事務、パソコン資格、電気工事関係技術等、様々なスクールの多くの講座が、教育訓練給付の指定教育訓練講座として指定されています。
例えば、資格スクールとして有名な「ユーキャン」、ヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」等にも、多くの教育訓練給付の指定教育訓練講座があります。
- その他、都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座
申込みにあたっての注意点、条件など
受講前に都道府県等から講座の指定を受ける必要がある。
一般教育訓練給付金(後述)の支給を受けることができる人は、差額を支給。
いつ、いくら支給されるの?
いつ?
訓練修了後に支給される
いくら?
受講費用の60%
ただし…
- 上限は20万円
- 1万2千円未満の場合は支給対象外
- 一般教育訓練給付金が支給される場合は差額を支給
自立支援教育訓練給付金の申し込み先
市区町村役場の福祉関係の窓口
高等職業訓練促進給付金
どんな給付金?
ひとり親家庭の親が、看護師や介護福祉士等の資格取得のため1年以上養成機関で学ぶ場合に、給付金が支給される。
対象となる人は?
以下の条件をすべて満たす場合に支給対象となる。
- 母子家庭の母または父子家庭の父
- 20歳未満の子供を扶養している
- 児童扶養手当の支給を受けているか同等の所得水準にある
- 養成機関で1年以上のカリキュラムを就業し、対象資格の取得が見込まれる
- 仕事または育児と、修業の両立が困難である
対象となる資格は?
看護師、介護福祉士、社会福祉士、保育士、歯科衛生士、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、美容師、調理師、助産師、理学療法士等、都道府県の長が指定したもの。
申込みにあたっての注意点、条件など
事前相談で、資格取得への意欲、資格取得の見込み、生活状況などを相談し、支給の必要性について審査を受ける。
いつ、いくら支給されるの?
修業期間全期間(上限3年)にわたり支給
- 市町村民税非課税世帯:月額10万円
- 市町村民税課税世帯:7万5百円
修了後に1回支給
- 市町村民税非課税世帯:5万円
- 市町村民税課税世帯:2万5千円
高等職業訓練促進給付金の申し込み先
市区町村役場の福祉関係窓口
一般教育訓練給付金
参考サイト:厚生労働省/教育訓練給付制度
どんな給付金?
条件を満たす失業中の人が、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給される。
対象となる人は?
雇用保険の支給要件期間が基本的に3年以上(他にも要件があるため、ハローワークで相談)
対象となる資格は?
介護技術、医療事務、パソコン資格、電気工事関係技術等、様々なスクールの多くの講座が、教育訓練給付の指定教育訓練講座として指定されている。
申込みにあたっての注意点、条件など
支給要件期間、支給額について、様々な条件があるので、受給できるかどうか、ハローワークで相談してみることをおすすめします。
いつ、いくら支給されるの?
いつ?
受講修了後に支給
いくら?
費用の20%
ただし
- 上限は10万円
- 4千円未満となる場合は支給されない
一般教育訓練給付金の申し込み先
お住いの地域のハローワーク
専門実践教育訓練給付金
どんな給付金?
条件を満たす失業中の人を対象とし、中長期的なキャリア形成を支援するため、教育訓練の受講費用の一部を支給。
対象となる人は?
雇用保険の支給要件期間が基本的に3年以上(他にも要件があるため、ハローワークで相談)
対象となる資格は?
医療、福祉、介護、情報処理など様々な資格、職業訓練の講座が対象。
申込みにあたっての注意点、条件など
事前にハローワークに相談し、キャリアコンサルティングを受ける必要がある。
いくら支給されるの?
教育訓練施設に払った費用の50%を支給
ただし…
- 1年間の上限が40万円
- 最長3年間(40万×3年=120万円が上限)
- 4千円未満の場合は支給されない
専門実践教育訓練の修了後、あらかじめ定められた資格を取得し、受講修了後1年以内に就職して雇用保険に加入した場合は、さらに費用の20%を追加で支給。
この場合、合計70%の支給となるが、その額の上限は1年で56万円、最長の3年で168万円)
受講した時期などによって規定が異なるので、詳しくはハローワークで相談してください。
専門実践教育訓練給付金の申し込み先
お住いの地域のハローワーク
職業訓練受講給付金
参考サイト:厚生労働省/職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
どんな給付金?
雇用保険を受給できない求職者が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができる。
対象となる人は?
次の条件をすべて満たす特定求職者が対象です。
- ハローワークに求職の申し込みをしている
- 雇用保険被保険者でない
- 雇用保険受給資格者でない
- 働く意思と能力がある
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
対象となる職業訓練は?
ハローワークに相談、問い合わせてみてください。
申込みにあたっての注意点、条件など
次のすべてを満たすことが支給の条件となります。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現住所以外に土地、建物を所有していない
- 職業訓練に休まず出席する(やむを得ない理由がある場合でも8割以上の出席率が必要)
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給している人がいない
- 過去3年以内に、不正に特定の給付金の支給を受けたことがない
いつ、いくら支給されるの?
- 職業訓練受講手当:10万円/月
- 通諸手当:職業訓練実施機関までの通所にかかる金額に応じた所定の額
- 寄宿手当:1万7百円/月(訓練を受けるために寄宿する場合でハローワークが必要性を認めた人に支払われる)
職業訓練受講給付金の申し込み先
お住いの地域のハローワーク
企業の資格取得支援制度
公的な制度の他にも、民間企業が行っている資格取得支援制度もあります。
会社が資格取得をバックアップしてくれる
会社に勤めている人の場合、仕事に関連した資格取得を、会社が助成してくれることがあります。
たとえば、介護施設に就職すると、資格取得を勧められ、費用などを負担してもらえる、といった例です。
また、不動産売買や賃貸に関連する業務を行う会社で働いていると、宅地建物取引士や、損害保険関係の資格を取るようすすめられ、資格取得や研修を受けるための費用を会社が出してくれる場合があります。
費用を出してくれるとしても、勤務時間中に資格を取るための勉強時間まではくれないことがほとんどでしょうから、勤務時間外に勉強をして資格を取ることになります。
仕事の後や休みの日まで、会社から言われた資格を取るための勉強をするのは嫌だと思うかもしれません。でも、将来的に役だちそうな資格なら、せっかくだからできるだけ取っておいたらいいと思います。
求人会社が資格取得をサポート
多くはありませんが、求人会社が、仕事探しをしている人の資格取得を支援してくれるというケースもあります。
たとえば、人材不足が深刻な介護業界の求人会社で、いくつかそのような支援を行っている会社があります。
せっかく介護の仕事に興味を持ってくれた人に、ぜひ介護の仕事を選んでほしい。そして、できるだけいい条件で長く仕事を続けてほしい、との思いから、資格取得支援制度を設けているということなんです。
支援制度を利用するためには条件があるので、各社のサイトで確認してくださいね。
資格取得サポート制度ありの介護求人サイト
介護専門求人サイト〜かいご畑〜
ベネッセスタイルケア
仕事をやる気があっても、年齢が高い、これといった職歴がないなどで、なかなか仕事が見つからない方は、介護の仕事に目を向けてみると道が開けるかもしれません。
私が持っている資格と勉強中のこと
最後に、私自身のことを少し書きます。
私は20代の頃に、当時勤めていた会社から勧められて「宅地建物取引士」(当時は「宅地建物取引主任者」という名称の資格でした)を取りました。
また、30代の頃に、資格を取っておけばいつか役立つかもしれないという気持ちから、「行政書士」の資格も取りました。

でも、じつは今ブログを書くのに、当時勉強したことが、間接的に役だっていたりはします。
そしていま、FP技能士の試験に挑戦してみようと思い、勉強を開始しました。就職のためというよりは、お金に関する知識を身につけたいという気持ちからです。まずは3級の試験に、独学で挑戦してみるつもりです。
それから、資格ではありませんが、在宅の仕事関係で、ウェブデザインやプログラミング、動画制作の勉強もしています。
40代で勉強を始めるのは遅すぎる?
今さら勉強したって…という気は、正直、確かにします。
資格を取るだけで仕事ができるわけではなく、資格を取るというのは、その分野に自分が強い関心を持っていて、最低限の知識も身につけたことをアピールできる材料でしかありません。
実際には、資格を取った後、仕事をしながら身につける知識や技術、経験によって、スキルアップしていき、はじめて本当に仕事ができる人になれるのだろうと思います。雇い主からしてみると「給料を払う価値のある人」になれるということです。
この年になって資格や仕事のスキルアップに関する勉強をしても遅い…ということはひしひしと感じています。
そんなこと言ったって、この年になって離婚して、一人で子育てをするはめになってしまったのですから、今からできることをやるしかありません。
40代で資格取得を目指すのは遅い。だからこそ一日も早く始め、本気で勉強するしかない。
そう思っています。
離婚する予定とか、離婚したいけど迷っているという人で、仕事探しに役立つ資格を取りたいと思っている方、お互いがんばりましょうね。