離婚するということは、子供にとっては、それまで両親がいたのに、パパまたはママのどちらか片方としか暮らせなくなるということです。
別れた相手について、子供にどう話すかは、とても難しいことですね。
このごろ、離婚した方のブログやTwitterをよく読むんですが、一言で離婚といっても、家庭によっていろんな状況があるんだなと思います。
お互いドライに、義務だけは果たして、面倒な争いは避けて別れることができれば一番いいのかもしれませんが、一度は結婚して家族になるという深い関わりを持った人と人との別れなので、そんなにきれいさっぱりとはいかないのが当たり前なのかもしれません。
別れた相手のことは、憎んでも恨んでもいないわ。むしろ感謝しているぐらいよ。
なーんて美しいことを言えるような別れ方をできる人は、きっとものすごく稀ですよね。
私はそんな仏様みたいな心境には、とてもじゃないけどなれません。
別れた相手の、離婚前の言動を思い出すと、いまだに怒りや失望を感じます。
結婚したこと自体を後悔するような気持になっては、でもそれでは、大事な子供も生まれなかったわけだし…とジレンマに苦しんだりもします。
でも、そんな離婚相手が、子供にとっては、父親なんですよね。
子供の身体に、離婚相手の血が流れているというか、DNAを受け継いでいるというか、そのあたり詳しくはよくわかりませんが、子供の身体の半分は離婚相手から譲り受けたものなんですよね。
だから、離婚相手(子供の父親)の悪口を言うということは、子供の半分の悪口を言っていることになるというか。
なんとなくですが、そんな気がして、父親の悪口は子供には言ってはいけないのだと思っています。
でも言っちゃうんですが(^-^;
たまに、子供と、もと夫の話をします。
パパは家族に嘘ばかりついて、挙句の果てには人に騙されて、借金を抱えてしまった。そして家も家族も失って、いまは3畳の部屋に住んで必死に働いているんだよ。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお話に例えたりもします。
「蜘蛛の糸」の主人公は、悪人で、死んだあと地獄に落ちます。地獄には血の池や針の山があって、大勢の悪人たちがつらい責め苦を受けています。
もと夫も、きっとあの蜘蛛の糸の地獄みたいなところにいるような、つらい思いをしているのではないかと、私と子供は想像します。
でもパパならたぶん、地獄で責め苦を受けても耐えそうだよね、と子供と話します。体は丈夫だし、物事を気にしない、超楽天的でいいかげんな夫でしたから。悪党仲間を見つけて、案外おもしろおかしく、地獄で暮らすかもしれないね、と。
そうそう、パパってそういう人だよね、と私と子供はうなずきあいます。
でももしもママが、お金をたくさん稼げるようになったら、パパを助けてあげようね、と私が言います。
私と子供が、極楽?から、地獄にいるパパを見つけて、蜘蛛の糸を垂らしてやる様子も思い浮かべます。
白くて細い、キラキラ光る蜘蛛の糸です。
パパが蜘蛛の糸を見つけ、登ってきます。
半分ぐらい登ってきたところで、パパが下を見ると、地獄の住人たちが大勢、蜘蛛の糸を登ってこようとしているのが見えます。
パパは怒鳴ります。
「これは俺の蜘蛛の糸だ。お前たちは登ってくるんじゃねえ」
その時パパの手のすぐ上で、クモの糸はプツッと切れて…
「うん、うん。パパってそんな感じだよね」
子供が言います。私も子供も、いつのまにか、ボロボロ泣いています。
こんなふうに、子供の父親について話すことが、いいのか悪いのかはわかりません。もしかしたら、子供の心をものすごく傷つけているのかもしれません。
今は子供と二人で暮らして、できれば子供が将来なりたい職業に就けるよう、教育費を出してあげられるようになることだけを考えています。
パパを助けるような余裕なんか、全くないですね。だから上の話は、ただの冗談なんですが。
お金のことで嘘ばかりつかれて別れたので、二度と一緒に暮らすことはありませんが、なんといっても、もと夫=子供の半分だと思うと、どこかで元気に暮らしていってほしいなとは思っています。