離婚後に、子供と2人で、父母が住む実家に帰ってきました。
二世帯がいっしょに暮らすことになりました。こういうとき、必ず問題になるらしいですね。
そう。「台所の覇権争い」です。
今日は、歴史の教科書にも載っている(うそ)、わが家の台所4カ月戦争(Daidokoro-4months-War)の概要をまとめてみたいと思います。
もくじ
長年当家の台所に君臨してきた女帝
長い間、母はこの家の4畳半の台所を一人で治めてきました。シンク、ガス台、冷蔵庫、食器棚、米びつにいたるまで、すべての権利が母一人に集中していたのです。
この状態を「独裁」といいます。
数十年もの間、まさに、母のやりたい放題でした。母はこの台所で、自分のお金で買いたい食材を買い、作りたい料理を作り、好きなように後片付けをしました。
他人が口をはさむ余地はありませんでした。
招かれざる侵入者
独裁状態で、長年ある種の秩序が保たれていたこの家の台所に、異変が起こりました。
やってきたのは、離婚して満身創痍、情緒不安定なムスメと、思春期の入り口でむずかしい年ごろのマゴです。
これまで誰も疑問を抱かなかったこと、じつに様々なことが、問題として浮かび上がってきました。
高齢者の冷蔵庫問題
中でも、大きな火種となったのは、冷蔵庫に賞味期限切れの食材がいっぱい入っていることでした。
それまで、賞味期限が何カ月、いや何年切れていようと、誰も文句を言ったことはなかった。そこへ、呼んでもいないムスメがきて、「ショウミキゲンガー」と言っては食べ物をどんどこ捨てるではありませんか。
争いの絶えない時代
「わたしの作ったものは食べたくないんでしょう!」
「だれもそんなこと言ってない! ただ、賞味期限が切れてるものは食べたくないだけ!」
「どうせわたしはもう年寄りですよ。賞味期限の数字なんて見えないもの」
「すぐそうやって、こっちが年寄りをいじめてるように話を持って行くのやめて」
このような戦いが毎日のように勃発しました。
他にも、どっちが食事の後片付けをするか、朝食の主食はパンかごはんか、ふきんは洗濯機で洗うか手洗いか、みそ汁のだしはかつおかいりこか、カレーはジャワかバーモントか、酢豚にパイナップルを入れるか否か……
争いの種は、無限にあるようにすら思われました。
ふと気づいてしまった母
食事の用意のことでけんかをすると、母はしばらくご飯を作らなくなりました。
そのとき、ムスメが作ったものを食べるのではなく、父といっしょに買い物に行って、できあいのものを買ってきて、自分たちの部屋で食べるのです。
ムスメは自分と子供の分だけではなく、父母のぶんも作っておいておきました。でも父母は、意地をはっているのか、ムスメが作ったものに手をつけませんでした。
戦争から少し雪解け状態になった時、ムスメが食事を作って父母もいっしょに食べる、ということが何度かありました。
その時、母は気づいてしまったんです。
「ムスメが食事のしたくをしてくれると、ラクだ」
ということに。
これが、10年ぐらい前だったら、たぶん、いくらラクだからといっても、台所の覇権を人にわたすわけにはいかないと母は思い、意地でも食事を作り続けたのかもしれません。
でももう年で、ラクさに勝てなかったのでしょうか。
いつしか、先に母が台所に立っていても、ムスメが後から行くと、母はなんだかんだといって、台所から離れていくようになりました。
「洗濯物みてくる」「今日ゴミの日だったかな」「犬がおやつほしがってるみたい」と、なにかしら理由をつけて離れていきます。
そして、母が台所に戻ってくることはないのです。
ついに私が台所を征服する日がきた
そのうち、母は理由もつけずに、だまってムスメに料理をさせるようになりました。
母は何してるかとみれば、玄関の上がり框にぺたんと座って、犬と遊んでいたりします。
かくして、ムスメ(=私)はこの家の台所を征服したのです。
やったぜ。
しかし真の平和がおとずれたわけではない
ムスメが食事を作るようになり、安定したかに思えたのですが、不満でイライラしている人が一人います。
父です。
ムスメはパソコンにばかり向かっていて、手の込んだものを作りません。長い間食費を切り詰めてきたので、安い食材しか選びませんし、作る料理は質素です。
ムスメ本人はというと、じつは、手抜きをしている自覚はありませんでした。たしかに豪華ではないかもしれませんが、できるだけ食費を節約しつつ、育ち盛りの子供に栄養がとれるように、考えて作っていたつもりでした。
子どもも、ごはんというのはこういうものだと思っているので、なんとも思わず食べています。
でも、父にとっては手抜きの貧乏くさいごはんだったんでしょうね。
直接は言ってこないんですが、母に向かって「これは食べたくない」「このごろろくなもん食ってないな」とか、私に聞こえるように言います。
母はぴしゃりと「だったら食べなくてよろしい」とか言ってます(笑)
父は、料理を手抜きされることが苦手です。自分が尊重されているかどうかを、食卓の豊かさで測るタイプの人だからです。
品数が少なく、貧乏くさい料理しか並ばない食卓を見ると、自分が大切にされていない気がするらしく、怒りがこみあげるようです。おれのおかげで飢えずに暮らせているくせに! と思うらしい。
パソコンばっかりやってる暇があるなら、もっと手の込んだものを作りやがれ! というわけです。
いや~ほんと、申し訳ない。
でも、パソコンに向かって遊んでいるわけじゃないんです。引っ越したら、フルタイムで仕事をしますが、その前に、できるだけ副収入を増やしておきたいんです。
私がフルタイムで働いたって収入はたかが知れています。子供にできるだけ不自由な思いをさせないためには、必要なことなんです。
まあ、パソコンに向かって一日中、広告もはってないブログにタラタラとこんな文章書いているとしたら、確かに、遊んでいるようなものですが、少しは稼げてるブログもあるんです。ほんとうです。
そこに、いまのうちに1文字でも多く、1つでも多くの記事を、突っ込んでおかなくてはならないのです。
食費をふんだんに使って、母が手の込んだ料理を食卓いっぱいに並べる時代は、終わりました。
どんなに怒ったところで、もう戻ってきません。
といったわけで、今のところ、父がひとりで、モヤモヤ、イライラしています。
二世帯の台所、そして食卓に、真の平和がおとずれる日はくるのでしょうか。